|
おすすめさん
『谷山浩子の幻想図書館 Vol.3 アタゴオルは猫の森』
serial experiments lain TV-BOX
春期限定いちごタルト事件
米澤穂信( 感想)
月光シアター
谷山浩子( 公式)
委員長お手をどうぞ(1)
山名沢湖( 感想)
白のふわふわ
山名沢湖( 感想)
スミレステッチ
山名沢湖( 感想)
EVER17
( 感想)
|
|
〜 谷山浩子と本のあるところ 〜
|
|
|
|
2005年 2月
第10回「もえたん 萌える探偵小説」
いつも紹介させていただいてるライトノベル・ミステリのクロスレビュー企画。
今回は米澤穂信『春期限定いちごタルト事件』と上遠野浩平『しずるさんと底無し密室たち』で、両方揃ってわりと手堅いというか、知名度のある作品ですね。……どちらも読んでませんが(^〜^;)
■沙羅双樹 (6)
それは本当に唐突に気がついたといったような感覚でした。いままでわたしがいたかわりに、まばたきをしたらそこに沙羅が立っていた。わたしにはそんな感じがしたのです。
本当に入れ替わったわけではなく、沙羅のことと自分のことを勘違いしていたとわけでもありません。
夢の中に立っているのはやっぱりわたし自身でした。ただ、その風で揺れているわたしの髪も乏しい表情も、記憶にあった沙羅のものとまったく同じだった。そのことがわかりました。眼下に広がっている街の姿とそこに立っているわたしを含めた夢の景色のすべてが沙羅のいた夢の景色と重なっていたのです。
そんなふうに夢の中の自分が沙羅と同じように見えるのは、時間が経ってわたしの記憶が変わったり曖昧になったりしていたせいで起こることなのかもしれません。……そう考えるのが普通なのでしょう。
わたしはでも、そういうことではないんじゃないか……と考えていました。あの街には沙羅の姿がなかった。それはそこに立っているわたし自身が沙羅だったから。そう考えることでつじつまが合うように思えたからです。
子供の頃には年上だと思っていた沙羅のことを自分として見ている。そうだとしたら、たんに年齢が近くなったからというだけではなく、子供の頃には当たり前のように他人として見ていた沙羅のことを自分自身のように思って見るようになったのだと思います。「会ってみたい」だとか「またあの夢を見たい」だとかいったようなことを心のどこかでずっと思っていたのだから。
子供の頃に読んだ本などを大人になってからあらためて読み返してみると、たとえば主人公のことをいじめるような役まわりの、当時は嫌いだった登場人物のほうにむしろ共感しているといったことがあります。まったく同じではないですが、わたしの気持ちもそんなふうに変化していたのではないでしょうか。
いま見ている夢の中でわたしが沙羅になっているとしたら。
沙羅はあの街を去っていったわけではなく、わたしが沙羅としてずっとそこにいた。わたしが沙羅を見つけることが出来なかったのはだからなのではないでしょうか。さがしていたのが自分自身だったのだから。
夢の街で、わたしは自分のことをさがしていただけなのかもしれません。
■沙羅双樹 (7)
沙羅のことを昔のわたしは純粋に夢の中の登場人物として見ていた。けれどいまのわたしは自分自身のことのように感情移入している。それが昔と同じはずの人物をわたし自身に見せている……。
でも、そんなふうにひとつの結論らしきものを考えついてしまうと、こんどはそうやって考えたこと自体が自分の見ている夢をつまらなくしてしまうような気がしました。
わたしは、夢を見ています。
その中で、わたしはいくつもの住居が両側に並ぶ階段をゆっくりと下りていくところでした。そこはわたしのよく知っている、本当は一度も行ったことのない灰色の街です。
その街にいたのは夢の中の沙羅という登場人物。
いまそこにいるのはわたし。
――そんなふうに確認することを、少し寂しいことのように感じるのです。
わたしはずっと、沙羅に会いたいと思っていました。あなたに会って、話してみたいと思っていました。それが出来ないことだろうということはわかっていましたが、でもそれは何というか――、わたしのそんな気持ちがあなたのところに届くこともひょっとしたらあるんじゃないか、というような想いだったのです。夢に見ているのはどこかに実在する街で、そこにいるあなたに会える可能性だって絶対にないというわけじゃない。そう思いたかったのです。
でも、その沙羅を自分自身のことだと考えたらどうでしょうか。それは会いに行く相手なんていないということでした。行ったことのない場所に住んでいる誰かと会う機会はあったとしても、どこにもいない人に会いに行くことなんて出来ないのですから。
階段を下りきるところでわたしは振り返り、自分が歩いて来た細く伸びている石段の連なりを眺めましたが、そこにも人の影はありません。わかったことは、やっぱりここでのわたしはひとりなのだということ。
そこから始まる通りに立って、何かを求めるようにわたしはまわりに視線をめぐらせています。
それをあなたのことをさがしているのだろうと思っていました。
でもあなたはそこにいない。わたし自身というたったひとりの登場人物以外、この街には誰もいないのです。どこにもいないあなたのことをさがして、わたしは帰る家のない子供のように歩き続けている。……それが本当なのでしょうか。
あなたは、いったいどこにいるのですか?
問いかけることでさがしています。あなたのことを。
リッパーさんによる富士ミス既読調査。
わたしは20冊でした。もうちょっと読んでるかと思いました……。
また浅木原さんや小熊さんがすごいことに。
あざの耕平 「Dクラッカーズ 接触 -touch-」
あざの耕平 「Dクラッカーズ2 敵手 -pursuer-」
あざの耕平 「Dクラッカーズ3 祭典 -ceremony-」
あざの耕平 「Dクラッカーズ4 決意 -resolution-」
あざの耕平 「Dクラッカーズ5 乱 -rondo-」
あざの耕平 「Dクラッカーズ6 追憶 -refrain-」
あざの耕平 「Dクラッカーズ・ショート2 過日 -roots-」
あざの耕平 「Dクラッカーズ7−1 王国-the limited world-」
あざの耕平 「Dクラッカーズ7−2 王国-a boy & a girl-」
壱乗寺かるた 「さよならトロイメライ」
壱乗寺かるた 「さよならトロイメライ2 かんむり座の約束」
上田志岐 「イレギュラーズ・パラダイス 赤い童話のワールドエンド」
岡村流生 「黒と白のデュエット」
上遠野浩平 「しずるさんと偏屈な死者たち」
小林めぐみ 「食卓にビールを」
小林めぐみ 「食卓にビールを2」
谷原秋桜子 「激アルバイター・美波の事件簿 天使が開けた密室」
谷原秋桜子 「激アルバイター・美波の事件簿2 龍の館の秘密」
時海結以 「業多姫 壱之帖 風待月」
南房秀久 「ハード・デイズ・ナイツ レクイエムは君の―」
■沙羅双樹 (8)
わたしはあなたのことをまったく知りません。いままでわたしはずっと沙羅に話しかけるつもりであなたに語りかけていました。そしていまもこうやって語りかけています。
でも、沙羅がわたし自身だったとしたら、沙羅がいなかったとしたら、あなたはいったい誰だというのでしょうか? わたしが語りかけているあなたなんて初めからどこにもいなかった。……そういうことなのでしょうか?
わたしは存在していない相手に向かってひとりで語りかけていただけだった。
その通りなのかもしれません。これは夢の話なのですから。
でも本当にそんなふうに思ってしまってよいのでしょうか。
子供の頃の夢を、そこにいる会ったこともない誰か話すことが出来たらと思いながら見ていた。わたしがしたことは、あなたがいないという当たり前の現実をあらためて自分に突きつけてしまったのかもしれません。
でも、そんなふうに考えてしまうのはやっぱりどこか寂しい気がしました。あなたがどこかにいるかも知れないとまだ思っていたい。そんなふうに考えてしまうのです。子供の頃のわたしが沙羅のことを求めていたように。
そう……、わたしは憶えています。あの頃の自分が夢の中で沙羅のことを見ていたことを。沙羅という、その人が本当にいたのかどうかはともかく、それを見つめるわたしはそこにいた。それは確かなことで、夢ではありませんでした。
それなら、と思うのです。いまこの街を彷徨っているわたしの姿を夢に見ている人もひょっとしたらどこかにいるのではないでしょうか?
わたしが考えたのは、沙羅は小説の登場人物というよりも芝居の役のようなものだということです。その沙羅の役を演じているのがいまはわたしなのだとしたら、それを見る観客もいるのかもしれません。子供の頃のわたしがその観客だったのですから。
わたしが沙羅を演じている時の観客。あるいはわたしが観客だった時の沙羅。その役をこなす誰かがいるのではないでしょうか。
そこはどこにもない街なのかもしれません。沙羅はどこにもいない夢の人物なのかもしれません。でもその世界を夢に見ている人間や沙羅となってその街を歩いている人間はいます。わたしがそうなのですから。それが自分以外にもいると思ってもいいのではないでしょうか。
そこにいる役者と観客はお互いのことを知らないし、その存在も確かめられません。それでも信じてみたいのです。
■沙羅双樹 9
自分の記憶にまったくないはずの風景を夢に見る。そんなことがあなたにはあるでしょうか。知らない場所を歩いている。そんな夢を見たことはないでしょうか。
そんな憶えがあるとしたら、ひょっとしたらその夢はあなただけのものじゃないのかもしれません。
いまこの街を歩いているわたしのことを夢に見ている。そんな誰かがどこかにいたとしたら。それはあなたなのではないでしょうか。
この夢を見ているのはわたし。そしてあなた。その街を歩き続けている沙羅はあなたでもあり、わたしでもあるのです。
あなたはいま、そこにいますか?
わたしがここにいることは、あなたには確かめられないかもしれませんが、わたしにとっては確かな、本当のことです。だからあなたがそこにいることもわたしは信じてみたいのです。
それはやっぱりわたしの空想なのかもしれません。でも、こうして廃墟のような街を歩く夢を見ながらそんな想像をしていること自体が、もしもあなたの見ている夢だったとしたらどうでしょう? わたしはずっとあなたに語り続けていました。それがあなたの夢で起こっていることだったなら「あなたはそこにいるのか」という言葉はあなたがわたしにした問いかけだった。……そんなふうにも思えるのではないでしょうか。
わたしはここにいます。
語りかけているのがあなただったとしたら。わたしの答えはあなたへと届いたでしょうか。
わたしの言葉があなたへ届いたのかどうかを確かめることは出来ません。それでも、届かないはずの声、聞こえないはずの答えがあるとわたしは信じます。それがあなたとわたしのあいだにある窓を開くことになると思うからです。わたしのことを見ているあなたがいることを信じていれば、わたしたちは見えない夢の底で見えない手を繋ぐことも出来るんじゃないかと思うのです。
わたしたちがどこかで出会うことはないのかもしれません。それでもわたしは知っています。あなたのことを。それを伝えるためにわたしはあなたへと語りかけているのかもしれません。
あなたはわたし。
わたしはあなた。
誰もいない街を歩く沙羅は、それでもひとりではありません。
ひとりきりに見えても、わたしたちは一緒にいます。そして同じ孤独を歩いているのだと思います。こうして夢を見ているわたしと、それを見ているあなたが……。
■沙羅双樹 終わりに
この作品は谷山浩子の「沙羅双樹」(@『宇宙の子供』)の二次創作として書かれたもので、谷山浩子サークル眠りの森の会誌に掲載されました。
いつもなら創作部屋にアップする文章ですが、ためしに日記にアップしてみようかということで、こんな感じになりました。後半は眠りの森の会誌に掲載したものからけっこう書き直したように思います。
まあ、そんなわけで。
V林田日記によると、『SFが読みたい!』にて谷山由紀の刊行予定があるそうで。……ここ最近、何となく胸騒ぎがしてソノラマのサイトをよく見てました。考えてみればその行為自体は意味なかったですが。
ソノラマといえば、弘司の画集とか星虫のアニメ化とかいった話がありましたよね?? 本当に出るんでしょうかあれってどうなったんでしょうか……。
発熱地帯: スピード感の増した口コミ・ネットワーク
『月姫』以前はネットで同人ソフトが盛り上がるようなこと考えられなかった感じがありますけど、いまではむしろネットでこそ同人ソフトのようなものを盛り上げらることも出来るという感じがしますね。
真島悦也のことは前に書いてるはずだなーと思ったのですが、『コイネコ』の話が出たのは掲示板でした(<内容ないです)。ベタベタなラブコメですが、好きなんですよね……。4コマ誌の連載も良いです。
■[感想]ヒビキ
先週と今週見たのですが、渋くて面白いです。
地に足のついたドラマで、その上で面白いことをやりそうな感じがします。いまのところは。中学生の明日夢くんがもうひとりの主人公みたいな位置にいるようなので、ジュブナイルっぽい印象もあります。
こういう番組って、子供以外では特撮のファンや仮面ライダーシリーズ自体のファンに向けて作られてる感じで、それ以外ではネタ的に見られてるぐらい、みたいなイメージなんですが、ヒビキはそういったマニア的、オタク的、飛び道具的な匂いがしなくて、特撮番組とか好きでなくても自然に入っていけるように思います。それだけでけっこうな驚きなので、そこで評価が甘くなってるかもしれませんが。……というか、ああいう変な字が出て来る演出、好きだ。
大河っぽいOPと布施明EDも素敵。2週見てても、まだ変身後のライダーがどういうデザインなのかよくわからないところは難点でしょうか(2週ともちゃんと変身してるのに)。
【過ぎ去る日々をノコして】
[戻る]
- 2003 [ 01, 02, 03, 04, 05, 06, 07, 08, 09, 10, 11, 12 ]
- 2004 [ 01, 02, 03, 04, 05, 06, 07, 08, 09, 10, 11, 12 ]
- 2005 [ 01, 02, 03, 04, 05, 06, 07, 08, 09, 10, 11, 12 ]
2003年4月以前の日記
|
|