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2005年 9月 2005/9/1 (木)リスト::舞台探訪(博物士) 『ローゼンメイデン』第1期第1話をアニメイトTVにて配信! ■[感想]学園祭小説の歩き方『クドリャフカの順番 「十文字」事件』米澤穂信[角川書店]【 Amazon 】 ほんとにね。面白いもの描くひと、いっぱいいるよね。
これは文化祭の物語です。文化系部活が盛んなことで知られるという神山高校の文化祭3日間を過ごす4人の古典部員たちの話であり、その期間に古典部の文集を売るために彼らがいかなる活躍をしたのかがつづられた話になっています。
『クドリャフカの順番』は古典部シリーズの3作目にあたります。いきなり本作を読むことも出来ますが、可能であれば1作目から順番に読んだほうが良いかと思います。なぜかというと、このシリーズはそれぞれ独立した話になってはいますが、1作目の『氷菓』【 Amazon 】は古典部が文化祭で発行する文集について語られる春(から夏)の話で2作目の『愚者のエンドロール』【 Amazon 】は文化祭のためにあるクラスが作ろうとした映画について語られる夏の話というように、まるで文化祭へ向けて文科系部活が日々の活動をするようにこのシリーズの前2作も本作で語られる文化祭へと向かって来たといってもいいわけですから。
この物語ではいくつものイベントが行われます。実際に本を読む楽しみのために具体的に書くことは避けたいですが、部活などの団体によって行われる文字通りの「イベント」もあれば、それ以外の出来事もあります。普段の学校生活とは違う、そんな文化祭の時間と空間が4人の古典部員たちを通して語られていく。この作品はそんな"学園祭小説"です(ここで"文化祭小説"じゃなくて"学園祭小説"と書いてるのは"学園小説"に引っかけたというだけ)。彼らが遭遇するイベントも楽しいですが、知っている誰か(いままでシリーズに登場した人物)と会ったり知らない誰か(これからシリーズに登場するかもしれない人物)に会ったりするだけのことも、文化祭という特別な場ではいつもと少し違った楽しさがあります。 そしてこの作品は"学園祭小説"なのと同時に"文科系部活小説"でもあります。文科系部活にとっての晴れ舞台といってもいい文化祭が語り手たちの所属する古典部と漫研を中心にして描かれるこの作品は、ちょうど甲子園を目指す野球部などが描かれる漫画があるのと同じようなものでしょう。文科系部活漫画ではやっぱりわかつきめぐみの『月は東に日は西に』【 Amazon 】が連想されますが。シリーズ前2作では主に謎を示す千反田とそれを解く奉太郎がメインだったのに対して、今回はそのふたりによるミステリ的なラインとは無関係なところで摩耶花と里志の存在が(相対的に、というレベルかもしれませんが)表に出て来ていることも部活小説的な要素を強めているでしょう。 米澤穂信といえば"学園ミステリ"と"日常の謎"とで知られるようになった作家です。その作品で扱われる謎は、ごく普通の学園生活の中で「日常の中の非日常」として登場人物たちの前にあらわれます。ところが今回はその舞台が「日常の中の非日常」である文化祭で、これまでの作品のようなまったくの日常ではありません。今回もやっぱりミステリ的な謎が登場しますが、「日常の中の非日常」である文化祭で起きた「日常の中の非日常」はその意味を少し変えて"学園祭小説"へと回収されたように思います。ミステリ要素に頼りきって書かれているわけでなく、文化祭の要素に頼っていてミステリ要素がつまらないわけでもなく、文化祭の中にミステリがあってそれが文化祭に影響を与えるということの意味があって、それがこの作品のうまさになっているのですよね。謎は個人的なものではなく、文化祭の数ある"イベント"のひとつとして学校全体に認められ、奉太郎がそれに挑むのも「自分たちの文化祭を成功させるため」になっています。 文化祭であれ楽しいこともあれば辛いこともありますが、いままでのシリーズの中では主にひとりの人物の失意や挫折のようなものが描かれて来たのに、今回は漫研の周辺と古典部の周辺とで死屍累々といった感じになってますね。『夕べには骸に』の作者に対して摩耶花たち何人かが抱く想いにしても前作『愚者のエンドロール』で"女帝"が奉太郎に語った内容と繋がるような話ですが、彼女たちにとってはそこへ届く力こそが「既に失われ」ているようなものなのかと思います。 こんなふうにいろいろ書いて来たのですけど、古典部がいかにして文集を売ったかとか、里志がいかに文化祭をしゃぶりつくしたかとか、摩耶花が漫画や仲間のことについてどんな想いをしながら文化祭の漫研ですごしたかとか、探偵役がいかにして謎を解いたかとか、そういった見どころが『クドリャフカの順番』にはいろいろあって、そのどんなところでも楽しめるようになっている引っかかりの多さがこの作品をここまで面白くしているのだと思います。それぞれに物思う夜を挟んだ1日目の困惑、2日目の盛り上がり、3日目の解決という構成だけを見ても見事。堪能しました。
せっかくなので(?)パンフレット風にしてみようかと思ったらこんな感じになりました。わりと絶賛っぽくなってるのですけど、あえて残念なところを挙げるなら、シリーズものなのに判型が前作までと変わってしまったことと、初版にけっこう重要度の高いな誤植があったことでしょうかね。まあ、両方とも作品そのものの質とは関係ないですけど。それはともかく、コスプレのピンポイントさにいきなりやられたりとか、前作までのあとがきにあったネタがさらりと披露されてたりとか、関白宣言とか、小ネタもヒットしまくりです。
2005/9/3 (土)■『サマー/タイム/トラベラー』によるタイムトラベルフィクションチェック『サマー/タイム/トラベラー』によるタイムトラベルフィクションチェック 新城カズマ『サマー/タイム/トラベラー(1)』(感想)の263ページに掲載されている分布表のタイムトラベルフィクションに『サマー/タイム/トラベラー』をつけ加えたリストを見て、その中から読んだことのあるもの、観たことのあるものに投票するという企画です。集計経過ページはこちら。 投票は9月末までを予定しています。最終結果の発表などは特にしないかもしれませんが、ページはそのあともしばらく残す予定です。どうぞよろしくおねがいします。 リストを作るためにサマー/タイム/トラベラーで言及された作品リスト(まいじゃー推進委員会!)を参考にさせていただきました。どうもありがとうございました。 ■[感想]いかにして扉は開かれたか
あたしのことを信頼して。 ある夏の話。ひとつの事件が起こる。もう少しで大人になる年齢の少年と少女たちは自分たちの仲間に起こったその出来事について話し、いままでに作られたフィクションで事件と関係のあるものに言及し、謎を解釈する。でも、彼らにとって最初は虚構のつもりで接していたその出来事は、やがて間違いのない現実となっていく。 『サマー/タイム/トラベラー』のあらすじはこんなふうに書くことも出来ます。でもそんなふうにこの筋を書きながらわたしが特に連想している作品というのは竹本健治の『匣の中の失楽』【 Amazon 】だったりします。このふたつの作品の差は後者で起こるのが殺人事件なのに対して前者はタイムトラベルだという違いだけ――というわけではもちろんないのですけどね。でもその『匣の中の失楽』>や、それに綾辻行人のデビュー作『十角館の殺人』などといった新本格ミステリと呼ばれるようになった作品の一部にある傾向と『サマー/タイム/トラベラー』とでイメージが重なるところはけっこうあるんじゃないかという気がしました。 この作品と新本格ミステリとで重なるところだというそれは主に青春小説的なところです。夏という季節であるのも、まわりの人間よりもIQが高かったりするような主人公たちが文学や科学についての教養や謎に対する解釈を語りあうというのも、文体にしても、そして表紙が鶴田謙二というのも、あからさまに青春小説として読まれることを意識しています。それだけではなくて、彼らが集まるサロンのような場所である喫茶店の名前は「夏への扉」だし、そこで彼らはタイムトラベルフィクションだけでなくサリンジャーにまで言及するのです。過剰なほどに、磐石なほどにSF青春小説的であるといえるこの作品は、ここに書き出したような点だけでも引く人がいるんじゃないかと思うし、同じ点で魅かれる人も少なくないかと思います。 "青春小説"と呼ばれるのがどういう作品なのかはけっこう曖昧で、けっこう扱いにくい言葉だと思うので、学園を舞台にしているたとえば米澤穂信などのような作品の感想を書く時にも避けていたりしますが、正しいかどうかはともかくとしてそれにわたしの持っているイメージは、別の言葉で言い換えると"懐古趣味小説"であり、過去の自分へと意識を向けている語り手になる物語なのだと理解しています。実在するタイムトラベルフィクションを集めて"タイムトラベル講義"が行われるこの作品の自己言及性の高さはジャンルとしての自己言及性の高い本格ミステリのようですし、特にそうした要素が強い新本格ミステリに愛着が少しはあると、そのミステリによく使われる手法を参照することでこれが書かれているかのような気になったりするわけでもあるのですが、青春小説もまた過去の自分について語るという自己言及的なジャンルであることを含めて、これらの小説の形式はとても近いところにあるということなのかもしれません。 こんなふうに『匣の中の失楽』の名前を出してみましたが、それと『サマー/タイム/トラベラー』との違いは当然のことながらこの作品がミステリではなくてSFだというところ、そして作中に登場するのが「殺人事件」ではなく「未来への一方通行なタイムトラベル」だという差から生まれるのですね。語り手のいる現在から過去を振り返って、その先へ広がる「過去←→現在」という時間的な視界の幅を得たところで未来へと向かっていく彼らの旅の行程をそこに描き出したことが、スタンダードな青春小説であるこの作品が同時にその形式をトリックにした小説でもあったのだと感じさせました。 彼にとっての「未来」は閉ざされた部屋の向こうあったのですよね。夏の外へ繋がるその閉ざされた部屋の扉を開けていった彼女を追いかけて、彼は部屋を出た。彼が出たはずのそこはやっぱり「現在」という部屋の中で、次の扉を開けて先に「未来」へと向かっている彼女のあとをまた彼は追いかける。それをくり返していく、彼らの未来への旅の軌跡を間接的に描いていくのがこの物語なのだと思いました。
2005/9/4 (日)ぷちぷちリニューアル中(古いページまで手が回ってない)。 ■投票実施中です。もっと根気や教養があったら網羅的な「タイムトラベルフィクションチェック」を作ってみたいところではありますけど、わたしには無理っぽいですね(特に教養が)。 そんなわたしの投票結果は10/49作品でした。 「サマー/タイム/トラベラー」 新城カズマ,「ゆめのかよいじ」 大野安之,「タイム・リープ」 高畑京一郎,「トムは真夜中の庭で」 フィリパ・ピアス,「スキップ」 北村薫,「ターン」 北村薫,「夏への扉」 ロバート・A・ハインライン,「酔歩する男」 小林泰三,「バック・トゥ・ザ・フューチャー」(映画),「時をかける少女」(映画) うちの企画とは関係ないですが、巷では↓の投票も行われているようなので、もしよかったらどうぞ。
2005/9/5 (月)「セプテンバー」と聞くと、竹内まりやの歌を思い出したあとでようやく9月のことだったと理解します。 トップページが軽くならないかと思ってるのですが、画像があったりするので多少いじってみてもあまり変わりませんね。 そんなことを言っておきながらまた画像を増やしているという不思議なピーチパイ。 2005/9/6 (火)TNM BLOG - みんな女王様が大好き CAXの日記 - 遅刻しそうな女の子が食パンを咥え、走って登校している途中で曲がり角で男の子とぶつかり…… 2005/9/9 (金)■[感想]「これはミステリだ」というネタバレについて
いわゆる(本格)ミステリの定義のようなもののひとつには「驚きのある作品」といったものがあるようです(参考→一千億の理想郷)。このミステリの"驚き"というのは隠されていたものが明らかにされることで引き起こされるもので、「意外な犯人」とか「意外なトリック」のようなもので引き起こされるのが一般的なものかと思います。でも、そうした"驚き"を読者に引き起こそうとして考えられたものには叙述トリックのようなものもあって、この場合は作中の登場人物によって交わされる情報だけではわからないようなレベルでの真相が作品に隠されていたりするわけです。そしてさらに効果的に読者を驚かせようとした場合に考えられることが、その作品がミステリだということを読者に気づかせないという方法だったりします。 この方法の場合、そもそもそれが「驚きのある作品」だということ自体が読者に隠されていることになります。ミステリの手法を使っているのにミステリだということを読者に隠すことで真相が明らかになった時の"驚き"の効果をより上げているだけとも言えるわけで、この方法はミステリのファンからするとアンフェアだと判断されるかもしれません。そのことも欠点ですが、この方法の欠点は他にもあります。それはミステリだということをすでに知ってしまっている読者が読んだ場合には効果がないということです。つまり、叙述トリックで書かれた作品にとっては「これは叙述トリックで書かれた作品だ」と言うことがネタバレになるように、この方法で書かれた作品は「これはミステリだ」と言っただけでネタバレになってしまうことになります。 ところで、『白い花の舞い散る時間』はミステリです。……というのはネタばらしでも何でもなく、このことは表紙にもタイトルと一緒に「リリカル・ミステリー」とあることから明らかです。だから上に書いたような場合とは違って、ミステリだという紹介がされたことでその面白さが失われるようなことはありません。――だったらいままでの話は何だったのか、と疑問に思われるかもしれません。関係ない話をしていたつもりはないのですが、それこそネタバレになってしまうのでそのことについて書くのはやめておきます。 その表紙にある言葉が示しているとおりに、この作品は"少女小説ミステリ"というだけでも十分に楽しめますし、そうした少女たちが夏の5日間を一緒に過ごすという密室劇的な内容だけでも読む甲斐はあるかと思います。後半についてはもうちょっとストーリーに溜めがあったほうが理想かとは思いますが、それでもこの分量の中にこれだけの展開と落ちを書き切っていることにはやっぱり驚かされますね。 2005/9/13 (火)■先日のミステリに関する雑談どうして『白い花の舞い散る時間 〜ガールズレビュー〜』の感想があんな文章になったのかというと、作品の性格を紹介するのにもかなり気を使いたくなる小説だったりするせいなのですよね。紹介しにくい作品であればこれから(いつか)読む人のことを考えてあえて紹介しないでおくという選択もあるのですけど、この作品の場合はミステリ関係でもそれ以外でもあまり話題になりそうにないっぽいので、何とか内容に触れないように書いてみたのでした。少なくともわたしはほとんど知らないままで手にとって幸せに読んだので。 そんなわけなのですが、ここであらためてこの作品に関係して雑談のつもりで書いてみます。以下の引用扱いの文章を、前回の感想にある最後の段落の前に挿入するような感じで読んでもらえればと思います。積極的なネタバレはしていないつもりですが、近いうちに読んでみようと思ってるような方はそのつもりで。 どうしてこの作品のことを書くためにそんな話をしたのかといえば、「ミステリー」と名乗っていることを考えに入れてもそのミステリ度は高いだろうという、「ミステリであることの驚き」を感じられるのが理由のひとつ。そして、その上でミステリ的な展開から気持ちよく逸脱してしまうという、「ミステリでないことの驚き」を感じられるのが理由のもうひとつです。そしてこのふたつはばらばらでなく、ちゃんとひとつのミステリとして書かれているというのがこの作品のポイントかと。 上の"某作家"はともかく、以前に「谷山由紀がミステリを書いたらどんなものになるんだろう」とか考えてたことを、読み返してたらちょっと思い出しました……。TKOさんが「不思議なのは、この人がわざわざコバルトでデビューしたことの方にあります」なんて書いてるのを読んだからというのもあるかもしれませんが(^〜^;) 2005/9/14 (水) だって読みたくなるもの! 2005/9/16 (金)
出ますよ。 ■「テキストをツンデレ風に変換出力するジェネレーター」 な、なによ? このタイトルで何か期待したのかもしれないけど、もしそうだとしたらおあいにくさまだったわね。わたしがそんなこと知ってるわけないじゃないの。知ってるものなら教えてあげられるけど、本当に知らないんだから今回はあきらめたほうがいいわよ。……ってちょっと、その程度は別にあなただから教えてあげるってわけじゃありませんから。そこでまた誤解したりしないでよね。だいたい、そんなに欲しいんだったらあなたが自分で作ればいいじゃないの。 2005/9/18 (日)おとといは混沌としたこのサイトにツンデレのこびとさんが降臨してたみたいですね。捕獲に失敗したのは少し残念でしたけど、それもきっとわたしにツンデレへの愛がなかったせいでしょう。こんどはあなたの住む街に行くかもしれません。 それにしてもうちのサイトでツンデレなんて言葉が使われたのはおとといが初めてだったのでは……。 |
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